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月一書店空想書店のあれこれ


by Qu-So

物語の迷宮

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ぼんやりしたこどもでした。
いつも心が現実から離れたところを浮遊していました。
一人っ子で両親が勤めに出ていましたから、いわゆる「ばあやさん」に世話をしてもらいました。
ばあやさんはやさしくて、強制力がありません。
だからわがままに夢想し続けることのできるこどもでした。

ご飯を食べていてもすぐに心がワープしました。
「お口を動かしてくださいね」と声をかけられて口をもごもご。
「次は卵焼きですよ」と促されて卵焼きをつんつん。

そのうち、一番目のばあやさんのもたらした病気のせいで1年間療養の身となりました。
40度の熱でうわごとを言う小さな私に、母は半狂乱になったと言います。
父も「一度はあきらめた」のだとか。

私の枕元で物語を読み続ける母にとって、それは「おつとめ」だったのかもしれません。
私はいつもお布団の中で夢想し続けていました。
物語が現実になり、現実が物語に溶けて行きました。

そんなこどもが大人になって、でも本質はかわらないのです。
だから未だに私はぼんやりした夢想家のままでいます。
時々ちょっと賢そうなことを言ったりもしてみますが、本質はやはり溶けて行った物語の迷宮の中にあります。
そしてその迷宮に光をもたらしてくれるのが、私にとっての書物なのだと思っています。

こんな案内人でご不安かもしれませんが、それもまた楽しみのひとつに、どうぞこころやさしいお客様たちがいらしてくださいますように。

あ、Solaさんは設計もなさるきちんとした方ですから、どうぞご安心なさって。
神様はふさわしいパートナーをお与えくださるものなのです。
(by Umi)
by Qu-So | 2011-09-07 21:22 | 考えたこと